二回戦。
二回戦
「さあ、陛下!」
占い師に促され、王はボールを引いた。
「なぁ、占い師。」
「何です?」
「さっきから、この箱の中でボールを手渡されているのだが、これも気のせいかのぁ?」
「 クフフ 気にしないことです、陛下?」
伯爵vs武道家
開始の言葉が落とされた。
剣を構える伯爵と、悠然と構えている屈強な武道家。
どう見ても、武道家が勝つと皆が予想していた。
武道家は、嘲笑を伯爵へと浴びせた。
「おめぇがグエス伯爵か。使用人や魔女がいなけりゃ~何にもできねぇ餓鬼が。これに出場しようなんてよく考えたもんだな。どうせ、予選も魔女に助けてもらったんだろが。」
ハハッ と笑った武道家に、伯爵が ハァ とため息をついてみせる。
それには、武道家の目つきも厳しくなる。
「何がおかしい?」
「お前らの認識は間違っている。」
そう呟いた伯爵の姿が掻き消える。
伯爵は一瞬にして武道家との間合いを詰めると、剣を横なぎにし、武道家の胸を切り裂いた。
そして、よろめいた武道家の膝を切り裂き、筋を切った。
武道家の体が崩れ落ち、呆然と目を見開いている。
観戦していた他の参加者も、武道家と同じ思いだったようで、呆然としている。
一部の・・伯爵家関係者たちは、平然とし、ある者は 大きくなって と涙を拭っている。
「貴様は何も知らないから、そんなことが言っていられるんだ。
あいつは、そんなに甘いやつではないし、っていうより、むしろ奈落の谷に面白がって突き落とすような奴だし、あの屋敷で暮らすのは毎日が死ぬ気なんだ。
・ ・・・俺が弱いんじゃない。あいつらが、異常すぎるんだ!!」
「ほぉ。意外だの・・・」
「 クフフ Aたちの教育の賜物です。」
ふいに、ボックス席を恐る恐る見上げてきた伯爵と目があった。
「 クフフ 」
一瞬にして、伯爵は青褪め、足早に去っていく。
↓
伯爵目線
「やばいよな~。つい、異常だなんて言っちゃったよ・・・・」
真実なんだけど・・なぁ・・・・・ と、伯爵は不安げに、恐る恐ると占い師のいるボックス席を見上げた。
すると、占い師の口が何かを言っている。
E直伝の読唇術を取得していた伯爵は、それが何を言っているのか分かってしまった。
「あとで、おしおきけってい。だれがいじょうなのかしら?」
-後で、お仕置き決定。誰が異常なのかしら?-
青褪め、目を逸らすと、隣のボックス席にいる夫人と目があった。
夫人は扇で口元を隠しているが、その目は冷たい光を宿し伯爵を見下ろしている。
伯爵は、生きて帰っていいものかを考えた。
この場で死んだほうがマシかも、なんて考えてしまった。
伯爵は、シードとなり、自動的に準決勝進出が決定。
他のものたちも順調に準々決勝(三回戦)へ進出した。
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