一回戦。
本選は、27名によるトーナメント式で行われる。
「あらあら、有名な人が残りましたね~。クフフ。丁度いい暇つぶ・・ゴホン。
では、本選の説明をしましょうか。」
「(本音が出おったな、フェールめ。)」
「本選はトーナメント式。対戦は、試合直前に陛下にクジを引いてもらいます。
皆さん、存分に戦ってくださいね~(私の暇つぶしの為~)」
一回戦 第一試合
「では、陛下。さっさと引いて下さいな。」
占い師は王に小さな箱を差し出した。
腕が一本は入るほどの穴の開いた箱。
その中には、本選出場者たちの名前の書かれた拳大のボールが入っているのが見える。
けれど、どう考えても箱の外観の大きさはボールの量に適していない。
王は、どうせ占い師のすることだと徹底的に無視した。
「この二つ、デニーロとプートルとあるな。」
王は二つのボールを占い師の手に渡した。
「一回戦第一試合は、グエス伯爵家使用人デニーロvsポウンド公爵家使用人プートルの、使用人対決!」
占い師が対戦のカードを高らかに宣言すると、名を呼ばれた二人が武闘台の上へと現れた。
人型をとり両手に巨大な鉈をもったD(デニーロ)と、剣をもったプートル。
二人が静かに睨み合って(正確には、Dの無表情を睨みだと勘違いしたプートルが及び腰になって)いる。
「・・・・・少しいいか、フェール。」
「何です?今良いところが始まりそうなんですから邪魔しないでくださいよ、陛下。」
ウキウキ気分で武闘台を見下ろしている占い師のドレスの裾を引く王の声は小さく、戸惑いが含まれている。
そんな王には、占い師の不満げな言葉が投げかけられた。
振り向いてさえくれない。
「あのデニーロという青年、・・・私が幼い頃、処刑された凶悪連続通り魔の“ジャック・ザ・リッパーに似ておるように見えるのだが・・・・気のせいか?確か彼の者も巨大な鉈を使ったように記憶しているのだが・・・・」
「・・・・・」
王の言葉に、占い師の動きが一瞬止まった。
けれど、すぐに後ろ手を振った。
「気のせいですって。もー嫌ですね~ボケちゃったんですか?」
王の不審げな表情を他所に、試合は始まった。
審判による開始の声が落ちた。
すると、一瞬にして間合いを詰めプルートの背後に廻ったデニーロが、右手に持つ鉈でプルートの右腕を、左手に持つ鉈でプルートの背中を切り裂いた。
「大丈夫。手加減した。死なない。」
デニーロの途切れ途切れの拙い言葉も、プルートには届いていない。
傷口からはドクドクと血を流し、素人目にも危ない状況だった。
「出番のようだぞ、フェール?」
「・・・・面倒くさいですね~本当に、もう。」
「死人を出さないようにするのが鉄則で、お前の役目だろうに。しかも、あれはお前の使用人だろが。ほれっ、さっさと行け!」
シッシッと王に手を振られ、占い師は渋々といった様子で姿を消した。
そして、次の瞬間武闘台の上、倒れているプートルの真横へと降り立った。
意識の無いプートルの首根っこをつかむと、そのまま姿を消した。
一回戦
子爵・伯爵・E・Bも無事に二回戦へ進出し、シード選手のメイド長は自動的に進出した。
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