伯爵の母 リエル は、ゼアウが裸足で逃げ出したくなるほど苦手とする天然です。永遠の子供といってもいいでしょう。
「なぁ、母さん。」
「なぁに~フォールちゃん?」
伯爵は珍しく地方領の別邸を訪れ、珍しく母親とゆったりとティータイムをしていた。
5歳で、伯爵家の伝統として総てを継いだ伯爵を占い師に預け隠居するという、メチャクチャ常識はずれなことをした両親。
二人きりで話をするなんて、年に1・2度あればいいほうだ。
「俺の名前って、なんでフォールなんだ?」
「フォールちゃんはフォールちゃんでしょ?」
首をかしげ、実母リエル。
占い師が、究極の天然と言い張ったこの母親に普通の返答を求めてはいけない。
忍耐強く笑みを浮かべ続ける伯爵の後ろで、マンドラゴラたちが家事をしている。
「・・・・いや。なんか フェールとフォールって似てるなぁと思って、さ。」
「あぁ。だって、フェールちゃんみたいに可愛い子に育ってほしかったんだもの。」
ニッコリと微笑み驚愕発言をした母の前で、伯爵はピシリッと凍りついた。
なぜ、占い師がこの母を苦手にしているのか、真の意味で理解できた。
と伯爵は後日言った。
ポンポン
ちょっと落ち込んだ伯爵の肩を、優しく叩いたのは、一人(?)のマンドラゴラ。
白いエプロンをしているマンドラゴラはいった。
「マアマア若サン。奥サン、アアイウ人ダカラ、ネ。」
「――――植物に励まされても・・・・・・なぁ・・・はぁ」
「ドンマイ、ドンマイ。」
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