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200612270130
CATEGORY[気まぐれな貴族シリーズ]

伯爵家での朝。。。 


 伯爵の朝は遅い

いわゆるところ、寝汚い。

誰かが起こしに来るまで確実に起きてはこない。

今日も今日とて・・・・


 

『奥さん。貴方に出会えたことを、私は天に感謝しましょう・・』

『あら、いけませんわ閣下。私は夫も子もいる身。いかに、心が貴方に傾こうとも、この身は貴方には相応しくございません。』

伯爵は、目の前に立つ顔を赤めた女性の手をとった。

『いえ、そんなことはありません。貴女程私の理想通りの方は他に、何処を探しても見つけることはできないでしょう。』

『閣下・・・』

女性と伯爵の顔が近づく・・・・

 

「―――・・きてください・・・起きてください、伯爵様~」

ベットの上に寝ている伯爵を、文字通り白い手が揺さぶる。

「ん・・・・ん・・・・」

「もう、ほら起きてください。今日は早く起きるようにマスターに言われたじゃないですか~」

古くからこの屋敷に仕えている彼は、屋敷の主である伯爵を子供扱いする物言いをする。

しばらく揺さぶり続けると、伯爵も目をこすりながら起き上がってきた。

「――あ・・・・せっかいいい所だったのに・・・・」

あくび交じりに薄らと目を開ける伯爵。

美男子でも通る凛とした部分を持ったその姿に、人妻であろうと見惚れて惹かれてしまうのは仕方がないことかもしれない。

「今日って、何かあ・・・」

目を完全に開け、自身を揺り起こした存在に、いつもなら寝かせておいて貰える時間に起こされた理由を尋ねようと目を向ける。

すると、伯爵の動きが止まった。

「な・・・い・・・・」

目の前にいるのは、まぎれもなく骸骨。

伯爵にとっては、慣れてもいいほどの付き合い、それこそ生まれたばかりからの付き合いであるが、未だに慣れる事のないものたち。

「俺の前では、人型に変化してくれっていっただろ!!」

涙声で訴える伯爵に、黒スーツ姿の骸骨―Aは呆れたように肩を竦めた。

「いい加減、慣れたらどうです~?貴方が生まれた時からの付き合いでしょう?」

「慣れてたまるか!!」

「も~しょうがないですね~。・・・・はい。これでどうですか?」

骸骨から、12・3歳の少年の姿になる。

最も幼い姿のAだが、この屋敷の中では占い師に続き古株になる。よって、骸骨たちのまとめ役でもあり、グエス伯爵家にとっては長い間ずっと執事という存在として頼られてきた。

骸骨たちは、幼い頃から見慣れているはずの伯爵がそのままの姿だと2人っきりになった時に怯えてしまうので、マスター(占い師)により伯爵と2人っきりになる場合は人型をとるように言明されている。

「―――・・・で、今日は何かあるのか??」

「皆で、夫人様にお茶会に誘われているそうです。

皆、準備終わっていますから、後は伯爵様だけです。早くしないと、マスターに怒られますよ?」

「分かった。すぐに用意する。」

Aの言葉に、伯爵はベットから飛び降りた。

知らないものたちから見れば、伯爵は占い師の主という事になるのだが、実際には、幼い頃から世話になり、色々と知られている上に、伯爵が5歳で当主を継いだすぐに、地方領に隠居した両親に変わり、伯爵を育てたといっても過言ではない占い師には、逆らえないし、怒られるのも怖いという、ある意味で親子のような関係である。

そして、占い師の恐ろしさを誰よりも理解しているのも、伯爵である。

「あと、10分ほどで準備してくださいね~」

「分かってる。ん・・・・そういえば、何で服着てるんだ???」

いつもは着てないだろ、原形のときは。と、伯爵は首をかしげた。

「あぁ、夫人様から“くれぐれも人型で”と。お手紙を頂いたんです。

しかも、ボクなんてスーツまで頂いてしまって・・・」

Aは嬉しそうに笑うと、部屋を出て行った。

よく見ると、Aが着ているのはいつもの黒スーツではなく、短パンにハイソックス。

伯爵は少し遠い目をしながら、思わず頷いてしまった。

「――・・・あぁ・・・・夫人の守備範囲内なのか・・・・」

Aが夫人に引き取られたら、いやだな~ と考え、伯爵は占い師に強く頼んでおこうと心に決めた。

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