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200612270125
CATEGORY[気まぐれな貴族シリーズ]

とある世界の とある国 

遠く世界の果て、裏の裏にまで名を轟かす三人の女たちがいました。

人々は、三人の女たちを総じて 三大怪女 と呼びました。

             気まぐれな貴族 第一弾。。。。。


 

 薄暗い部屋の中に、上座には玉座のような装飾の施された椅子に足を組み、腰掛け、閉じられた扇で口元を隠す貴婦人 パウリー・F・ポウンド ― 公爵夫人。

 人々を恐怖をもって支配する遠き帝国の皇帝でさえも、その眼前に涙を浮かべ土下座するという実しやかな噂を語られる三大怪女の一人。

 夫人は、眼鏡の下に潜ませた瞳を細め、膝を折り頭を下げている男を見下ろしている。

「夫人におかれましては・・・・・」

男は、よく回る舌でペラペラと話をしているが、夫人にはその言葉は届かない。

普段は作られている笑みが失せてしまった時点で、男は世界の最果てへと逃げ延びていれば、命を数日は永らえせれたかもしれない。

 パチン

その音に、男の声は止まり、男の目が震えながら夫人を見上げた。

夫人の持つ扇が開かれ、その口元を隠し、いつの間にか現れていた少年―大人のようにスーツを纏っているが、その容姿は14・5歳ほど―へと話しかけ、そして何らかの報告を聞いている。

少年が、スッと身体を下がらせると、ようやく夫人の目が男を捕らえる。

「夫人、わたくしめは・・・」

「閣下。」

男の言葉は、夫人の威圧に満ち溢れる声に遮られる。

男の額からは、滝のように汗が流れ出る。

「私には、貴方の声が 夏の夜の虫の羽音のように感じられます。少しお静かにしていただきたい。」

にっこりと微笑む夫人の、目は、その穏やかな物言いを裏切り、鋭い光を放っている。

「しかし!!」

「黙れというのが理解いただけませんでしたか?

まぁ、愚か者に理解せよという方が無理なのかしら・・・・ふふふふ」

「なッ!!!」

「あまり私を嘗めないで頂きたいわ。私が知らないと思ったのかしら・・・貴方が彼の組織と通じているということを。貴方は、私の前で膝を屈しながら、心の中で嘲笑していたのでしょう“愚かな女だ”と。私の手の上で転がされているとも知らずに・・」

フッ と夫人の笑みが深まる。

「私はね、閣下。いつまでも自分の状況を理解できないような、動物にも劣る愚か者をいつまでも泳がせて上げるほど、心広くはないのですよ。

 そして、目障りな組織を野放しにしてあげる、心の広さもね・・」

男の身体は留まる事を知らず震え続ける。

夫人の言葉は、男の全てが砂上の城のように崩れ落ちていく事を表している。

男には、もう何も残されていない。

「―う・・・あぁぁあぁぁあああぁ!!!!!」

突然、男は言葉にならない、狂ったような叫びを上げ、夫人に襲い掛かる。

夫人の後ろに控えていた少年が動こうとするが、それを手で制し、夫人は冷ややかな表情で襲い来る男を見る。

男の手が、夫人の首に伸びる。

  パシュッ

空気を切り裂く音が響く。

「ああぁっぁああ」

男は、婦人の首に伸ばそうとした右手を押さえ、床に座り込み悲鳴をあげる。

「ありがとう、ベル。」

部屋の脇から、小さな銃口から煙を吐くそれを片手で構えているメイド姿の女の姿。

公爵家メイド長ベル・シュレッド。

彼女もまた、三大怪女の一人として、名を轟かす一人。

“世界の火薬庫”“戦女神”と呼ばれる最強のメイド。

「お怪我はございませんか、奥様?」

「大丈夫よ。それにしても珍しい事。今日はサイレンサー付きなのね。」

「はい。弾薬の仕入れのさいに手に入れたので、試してみたのですが・・・やはり面白みに欠けますね。」

残念そうに溜息をつくメイド長は、銃をしまっていく。

「組織のほうは、どうなったのかしら。」

「御安心を。目撃者一人残してはおりません。」

「そう。まぁ、その辺のところは貴女のことだから安心だわ。

けれど、暫くの間大量殺戮だとかなんとか、貴族会議が五月蝿そうね・・・」

夫人は気だるげに溜息をつく。

すると、メイド長はニコヤカに提案した。

「でしたら奥様。占い師に頼んでみたらいかがでしょう。組織自体が元より存在しなかった事になれば、よろしいのでは?実験材料を探していたみたいですし・・・」

「そうね。それがいいかしら。使いは誰にしようかしら・・・・

占い師は、魔女と呼ばれる三大怪女の一人。フェール・ゼアウ。

下手な者を占い師の住むグエス伯爵家へと使いに出せば、屋敷内をウロツク占い師の玩具たちに驚き逃げ帰ってくるか、玩具たちの餌食。悪くて占い師の玩具の仲間入り。

夫人もメイド長も頭を抱えてしまう。

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